安全な国内でのツーリングと違い海外でのバイクパッキングは思ったり難しい。250cc以下の小型バイクなら布製バッグでも問題ないかもしれないが、最近の大型バイクになるとその持ち物もおのずと高価なアイテムになると思われるので狙われやすくなる。
バイクには、タンクバッグ、トップケース、サイドパニアとリアシートにつけるソフトバッグの4タイプがつけることができる。
これらを行く国々で付け替えることができれば走りの内容とセキュリティはうまくいくだろう。オフロードメインのモンゴル、南米、アフリカは、サイドパニアを防水布製バッグにして転倒時に備え、EUや北米などは高速移動に向いているハードパニアに変更する。タンクバックも防水タイプと大容量タイプを使い分ける。トップケースは、どちらもハードタイプがセキュリティ上問題ないと思うが、できればオフでは小さく、オンでは大きなサイズにすると使いやすい。このオフとオンを簡単に付け替えることができ、転倒で壊れても世界中で手に入れられるイタリア製の「GIVI」を世界旅行のお供におすすめする。
(アフリカツインにハードケースをつけたタイプ)
オン中心ならばこのシステムが使いやすい。後部座席に荷物を積まないようにすればバイクを置いたまま観光ができる。
(同じくアフリカツインにソフトケースをつけたタイプ)
オフ中心ならばバイクを置いて観光に行くことは少ないだろうから転倒時のダメージ軽減を優先したソフトバッグを優先したパッキングがいい。この写真はリアにソフトバッグを積んでいるがここだけはハードケースが安心だと思う。
「GIVI」は、ハードケースでもソフトバッグでも「ステー」が同じものを使える。このソフトとハードを入れ替えて使えるメーカーは今の所「GIVI」しかない。
コロナ禍では一筆書きのように数年海外いったきりはできないだろうから、日本に帰るたびにシステムを入れ替えていけば最も合理的に安心して旅行を楽しむことができるだろう。
具体的にはこちらがおすすめ。
<大型オンロード用パッキング>
UT809 20L 内部防水タイプ。キーがかかるタンクロックタイプ。タンクロックは給油時にワンタッチではずれ便利。ただしタンクキキャップに取り付ける車種別アタッチメントが必要。
(トレッカーアウトバック 58L) このアウトバックは相当量入る。四角な作りなので上にちょっとしたものを積むのにも便利。防水性、セキュリティも万全。各バイクメーカーの純正品でもあり世界中のバイクアドベンチャー乗りが使っているのでその堅牢さにも折り紙付き。サイズが大きすぎるようならばオフ用で紹介している42リッターでも十分。リアキャリアはGIVIの純正品を使いたい。ガッシリとしたパイプ経に驚くだろう。
(トレッカーアラスカ 36L) こちらはモノキーというGIVI独自のロックシステムで、オンとオフのパニアを同じステーで使うことができる。
オン用で合計150リッター積むことができるので、長期のツーリングでも困ることはない。(似ているケースの「アウトバック」ではソフトバッグと兼用できないので注意)
<オフロード用パッキング>
(GRT716 6L) 外防水タイプ。6リッターと小さい。250ccタイプならこのサイズが限界。
大型車なら(GRT715 20リッター)がおすすめ。表防水タイプで、雨や泥に安心。タンクロックではなく、より強度のあるベルトで車体に取り付けるタイプ。
(アウトバック42リッター) オフ用には小ぶりのこちらがおすすめ。どれかひとつには鍵がしっかりかかるものがないとトイレにいくのも不安。ソフトバッグだけだと食事中にごっそり盗まれてショックを受けそうだ。その点ホンダのNC750Xはタンクに荷物を入れることができ、いまのところ最もセキュリティが高いバイクかもしれない。
今噂されているのがNC750Xのエンジンを使ったオフタイプのトランザルプが出るらしい。このバイクがメットインタンクでDTCでスポークタイヤなら海外旅の主力機種に躍り出そうだ。2021年の新型NC750Xに試乗したらエンジンが一気に進化していて、燃費と動力性能とDTCのスムーズなギアチェンジに驚いた。さらに空力がよくできていて、高速域の走行安定性が抜群にいい。メットインでの高いセキュリティ等々、すべてに合格点が出そうで今から楽しみなバイクだ。
(GRT720 25+25 50リッター 防水タイプ)オフ中心の路面で転倒を考えるとパニアにはソフトケースがおすすめ。4つで合計112リッター。オフ用はどうしても積載量が減るので、荷物の厳選が必要。リアシートは開けておきたいが、テント関連が入るとそこも使わざるえなくなる。キャンプ用品は圧縮技を駆使してこのリッター数に収まるようにしたほうが転倒の危険も減るだろう。
荷物のパッキングには国内で真夏1週間、真冬1週間の確認旅行をすることをおすすめする。どちらの旅行でも一度も使わなかったものは海外でも使わない。特に便利そうなものほど使えないので、必要なものと便利なものは分けて考えるといいだろう。
オフ用で20キロ、オン用で30キロを目安にパッキングしたい。海外の航空機手荷物便を振り分けるのが限界かと思うので、左右同等の重さになるよう測りながらパッキングしていきたい。
いずれにせよバイクでの海外旅は、高価なものを長く使うより、現地に合わせて使い捨て的な考えの方が向いている。派手に転倒や事故したらバイクを置いて病院に行くことになり、その間に荷物はあっという間に姿を消すのだから。