ほのぼのとしたハイジの家から今回のバイク旅のメインルートになるフルカ峠を目指した。この時は雨が降っており濃霧のため景色があまり見えなかったので、スイスイと頂上を目指すことができたが、実はこのフルカ峠は世界的に有名な恐ろしい観光道路だった。そのことは次の年に同じ道路を通った時に初めて知った。もう一度行きたいかと言われたら「絶対無理!」と答えるだろう。崖っぷちのガードレールがない細い道で2台ギリギリのところを観光用の大型バスがいきなり現れる。それに驚いて10センチ外れたらそのまま崖下まで転落する恐怖の道が延々と続く。
フルカ峠の頂上の近くにローヌ氷河があるらしいが、どう探しても見当たらない。グーグルマップが表示する場所をウロウロしていたらどうみても峠の茶屋みたいなところがそうらしい。怪しみながら茶屋の店内にはいるとローヌ氷河の券売機があってかなりのおばあちゃんが入り口でもぎりをしている。やっぱりここらしい。飲食コーナーは娘が、おみやげコーナーは孫が担当していてファミリーでこの店を切り盛りしているようだった。おばあちゃんに入場券を渡して店の裏に出るといきなりローヌ氷河が現れる。
(右下にみえるゴマ粒のような点々が観光客)
峠の茶屋の裏にこんなすごい景色があるなんてアニメの世界みたいで笑ってしまった。スケールが大きすぎて写真では伝わりにくいのが残念。氷河の左下の巨大な池が雪解け水で、その氷河が溶ける水が滝になってフルカ峠を美しい峠にしている。この氷河の雪解け水がローヌ川の源流とされている。
標高2500mのフルカ峠は長野のスキー場程度でそんなに標高が高い方ではない。さらに昨今の温暖化によりどんどん後退しており、夏場は断熱シートで氷河を覆い溶解を防ぐといったことも試みられている。特に最近ヨーロッパは熱波が続いており見に行けるならば早いほうがいいかもしれない。
崖のようなところを下に降りきったら女子をモデルのようにしながら何枚も撮影している男性がいた。ツーショットを撮ってくれと頼まれたので撮ってあげて話を聞くと、彼はスイスのブライダルカメラマンで彼女はネットで知り合ったロシア女子らしい。組み合わせに驚いたがヨーロッパでは普通なんだろうな。彼が仕事で撮影した結婚式の写真を見せてもらったが、スイスのブライダルカメラマンも楽しそうでやってみたいと思った。
断熱シートの下に氷の通路が作られている。中に入ると氷河感がかなりあった。
ローヌ氷河はアラスカやニュージーランドやアルゼンチンの壮大な氷河と比べられると辛い。あくまでもアクセスが簡単な観光道路の脇にある氷河という感じなので初氷河という方にオススメ。