地下鉄で赤の広場に来てみた。
中国人の団体がかなりいた。20年前にここに来た時はパラパラとロシア人がいるだけだったのに、今は外国人観光客で賑わっていた。
その昔、ロシアは千年に渡り君主制を導入していた。近年では17世紀のピョートル一世ロシア皇帝、18世紀のエステカリーナ二世と続き、19世紀のニコライ二世が最後のロシア皇帝となる。20世紀に入ると、1917年にロシア革命がおき、君主制がなくなり共産主義者が権力の座についた。
その後、第二次世界大戦へてソビエト連邦共産党が一党支配体制を築いた。1990年代にゴルバチョフが複数政党制を導入し一党独裁が終わり、超大国のソ連邦が崩壊した。彼はペレストロイカと名付けた市場経済とグラスノスチという情報公開を導入した。米ソの冷戦が終わったロシアは共産党の一党独裁からアメリカやドイツやフランスとも違うロシア独自の民主主義に移行した。
ロシアの民主主義は30年も経っておらずこれから成熟していくともいえる。旅行者の僕が見ても20年前のモスクワを見比べると全く違う西洋的な洗練された都市がそこにあった。一気に西洋化するロシアは、プーチン大統領就任後8年でGDPが8倍、それに伴い給料も8倍になっている。日本ではその8年間で8%、30年前とくらべても2倍しか伸びていない。国内が安定し、経済が発展している現実を見ると、これだけの成功を収めた彼の時代はまだまだ続くだろう。
ロシアを横断してみて強く思ったことは、決して後進国や最貧国ではないということだ。地方のインフラは古いが大切に使っており管理が行き届いている。きらびやかな超高層ビルや新幹線はないが、70両もの物資を営々と運んでくるロシアの貨物列車は黒光りする迫力があった。たった2車線しかない無料のシベリア横断道路で東西の膨大な物流を結ぶ。
彼らには西側の無駄な虚栄や享楽とは正反対に位置する日本の「武士道」に通じるものがあるような気がした。
(グム・ショッピングモール)
前回モスクワを訪れた時にも驚いたのが、赤の広場に隣接する「グム百貨店」と呼ばれるショッピングモールだ。前回訪れた時よりもさらにレベルが上っていた。通路の中央には花が植えられ、飾り付けも抑制がきいたセンスあるものだった。
天井部がガラス張りで、石造りの非常に高級かつ洗練されたショッピングモールだ。現代のショッピングモールのお手本みたいな設計だ。
この重厚なモールが帝政ロシア時代の1893年(明治時代)に出来ていたというだけでも驚きだ。